水素吸入の仕組みやメリット、デメリットについて解説
最近、美容クリニックなどで、「水素吸入」というサービスを提供する店舗が増えてきました。美容や健康マニアの間では、水素の効能が話題となり、水素水を飲むことがブームになりましたよね。もちろん、今も水素水は人気があり、多くの方が嗜んでいますが、水素吸入は一段と高い効果を期待できると言われています。
ただし、いきなり水素吸入と聞いても、どのような効果が見込めるのか、身体に害はないのか、気をつけることはあるのか、色々気になりますよね。今回の記事では、水素吸入がどんな仕組みなのか、詳しく解説していきますので、ぜひ一読してください。
美容クリニックなどで受けられる水素吸入ってどんな仕組み?
水素吸入とは、水を電気分解して生成した水素酸素混合ガスを、カニューレとよばれる吸入チューブを用いて、鼻などから呼吸吸収することで体内に取り込むことをいいます。呼吸吸収といっても、私たちが無意識に行う呼吸とは異なり、粘膜を通じて直接水素を取り込むのです。このため、粘膜吸収ともよばれています。身体の細部まで高濃度状態の水素が行き届くとされ、医療機関で水素吸入療法を採用しているところも、ほぼ全てこの仕組みです。
先ほど、水素吸入では水素酸素混合ガスが一般的に使われると言及しましたが、単純に考えると、水素ガス単体を吸入する方が効果が高そうにも思うかもしれません。しかし、専門機関による多くの臨床試験の結果、水素66.66%、酸素33.33%という割合の混合ガスを一定量以上吸入することが、最も期待値が高いそうです。具体的な数値としては、一概には言えないものの、毎分2,500ml以上かつ一日1時間以上連続して水素吸入すると効率的なようです。5~10分といった短時間を何回も行うより、まとめて長時間にわたり吸入し続けるほうが良い結果が出やすいという報告が出ています。
水素吸入のメリットとデメリット
水素吸入が注目されるポイントとして、ヒドロキシラジカルとよばれる有害な悪玉活性酸素を選択的に取り除く機能が挙げられます。この働きが発見された2007年以降、水素に関する研究が一気に進み、水素吸入療法が広まっていったのです。活性酸素が老化や疲労の原因となることが周知されるにつれて、抗酸化療法が脚光を浴びましたが、水素吸入とは大きな違いがあります。それは、他の抗酸化物質は活性酸素の種類を区別できません。身体に悪影響をもたらす悪玉活性酸素だけを選んで取り除いてくれるのは、水素だけです。
私たちが普段生活している1気圧の世界で、水素飽和濃度は約1.6ppmであり、水素ガスで表現すると約17,600ppmが溶けているということになります。一方、水を電気分解して発生させた水素ガスの水素濃度は、約660,000ppmです。体内に取り込む方法が異なるといった点はあるにしても、水素吸入だとより多くの水素を全身に行き渡らせることが可能なのが頷けるかと思います。
水素吸入には多くのメリットがある反面、デメリットについてもしっかり覚えておきましょう。副作用や健康被害はないとされていますが、好転反応とよばれる現象が発生する可能性はゼロではありません。好転反応とは、自然治療を受けた後、身体が常態に戻る過程で起こる症状を意味します。主な症状は、以下の通りです。
①尿や汗の量が増える
②眠くなる
③手足に多少の違和感を覚える
④頭痛やダルさを感じる
水素が活性酸素と結びついて除去する流れの中で、一時的にこういった症状が出る方も稀にいますが、すぐに回復するものばかりです。水素吸入をしていると脳内にシータ波という脳波が現れ、これは身体がリラックスしている状態を示します。そのせいで眠くなるのですが、施術後の長時間運転を控えたり、吸入時間を短縮すれば問題ないでしょう。
水素吸入って効果ない?危険という噂は本当?
水素吸入については、「効果を感じられない」といった声も一部見受けられます。当然ながら効果の個人差はあるのですが、それ以前に注意しておかなければいけない点を触れておきます。
美容クリニックなどが導入している本格的な機器ではなく、低価格の家庭用水素吸入器を購入して、自宅で好きな時間に水素吸入を行いたいという方もいるでしょう。ところが、こうした家庭用の機器だと、水素発生量が非常に少なく、本来得られるはずの効果を享受できないケースも多いのです。
前項にて、毎分2,500ml以上吸入すると効果が出やすいと説明しましたが、家庭用の場合、ガス発生用は毎分100ml~1,000mlのものが多いです。そもそも機器の性能がまったく異なるため、効果が無いと思ってしまうのも無理はありません。
また、水素と聞くと、水素爆発を連想して危険なのではと不安になる方もいるはずです。水素が発火する条件として、空気中での爆発濃度4.0%~75%、かつ500℃以上の高温でないと、身に危険を及ぼす爆発は起きません。通常、水素吸入療法で用いられる水素酸素混合ガスの水素濃度は2%程度です。
以上のことから、美容クリニックや医療機関で水素吸入を受けても、水素爆発するリスクは皆無に等しいと言えるでしょう。
まとめ
水素吸入は、粘膜吸収という、粘膜を通じて体内に直接水素を取り込むものです。全身に水素が伝わるので、水素が持つ効能を実感しやすいのではないでしょうか。
その反面、効果が出るには一定の時間がかかります。水素吸入療法を一度や二度実践するだけでは、「あんまり効果がない」と認識してしまいがちです。なるべく頻繁に、そして一回あたり1時間以上、じっくりと水素を吸入してみてください。前述した通り、水素吸入器を使うことによる健康被害などは、頭に入れておかなくても大丈夫です。一定期間使用した上で、自分の身体に合うか否か、続けるべきかを判断してみるといいでしょう。