水素水を熱帯魚など魚の飼育に使うとどんな効果があるの？
水素水を熱帯魚の水槽に使うのはOK！しかし濃度には注意が必要
水素水には、高い抗酸化作用があります。私たち人間が飲めば、高血圧を改善できる効果が期待できるほか、臓器や神経のバランスを整えてくれるなど、大きな健康効果が期待できますし、植物や野菜の栽培に水素水を使えば、栄養価が高くなり、収穫量が増えるといったプラスの効果が期待できます。これらは、水素が持つ抗酸化作用によるものだと言えるでしょう。それでは、家庭で飼育している熱帯魚の水槽の水を水素多めの水に変えたらどうなるのでしょうか。
水素量が多い水で魚を飼育することには、専門家でも意見は分かれます。その理由は、飼育環境が変わることによって魚が受けるストレスが大きくなってしまうからです。
熱帯魚を飼育する水には、海水を使います。多くの場合、アクアショップから人工海水の素を購入し、家庭の水道水と混ぜて濃度を調整するのではないでしょうか。この際、塩分濃度には注意が必要で、ハイドロメーターなどを使いながら、人工海水の塩分濃度が1.021〜1.030の範囲に収まるように調整しなければいけません。
熱帯で生活する魚に限らずどの良な魚でも、自然に暮らしている環境においては、水素の濃度が高い水の中で生活している魚は存在しません。水素が多く含まれていることが生物にとってプラスの効果が期待できる水でも、魚にとっては生活環境が変わってしまうことによって、大きなダメージとなってしまうことが懸念されます。
ただし、専門家の中には、魚の飼育にも水素多めの水を使うことによってプラスの効果が期待できるという人も少なからずいます。2017年に行われた研究では、水素濃度を0.016ppm程度に薄めた水で熱帯魚を飼育したところ、さまざまな効果があったことが報告されています。
1つ目の効果は、魚の免疫力の向上です。これは人間が水素多めの水を飲んだ時にも得られる効果と同じです。細胞の中に蓄積されている活性酸素が水素の働きによって体外へ排出されるため、魚の健康状態が改善されるのです。
2つ目の効果は、細菌感染への耐性の向上です。水素には除菌や殺菌の効果もあるため、水槽内に存在している菌を抑制できます。菌の力が弱まり、魚の免疫力が高くなることによって、魚は細菌感染しづらくなり、万が一感染した場合でも寿命が長くなることが分かっています。
3つ目の効果は、水槽内の水が汚れづらくなることです。上記のように、水素の除菌作用は、藻やコケなどにも作用します。従来の水ではどうしても藻やコケで水槽が汚れやすくなってしまいますが、水槽の中の水の水素濃度を少しだけ高めることによって汚れづらくなります。水槽のお手入れが楽になるという点もまた、水素を使う効果の一つと言えるでしょう。
ちなみに、この研究で使用された魚は、熱帯魚の中でも研究に普通使われることが多いゼブラフィッシュです。大きさは5cm程度が多く、生物学の研究においては遺伝子の解析などにもよく用いられます。ゼブラフィッシュで行われた研究では以上のような効果がありましたが、全ての熱帯魚で同じような効果があるかどうかは明らかになっていません。この点は、念頭に入れておきたいものです。
水素水は飼育よりもクリーニングに使おう
熱帯魚を水素水で飼育することは、不可能ではありません。しかし、上記のように水素濃度の管理がとても難しく、濃度管理を間違えてしまうと魚の飼育環境が大きく変わって、死んでしまうリスクが高くなってしまいます。また、熱帯魚の飼育は水質管理がとても難しいものです。水道水に含まれているカルキを抜き、塩分濃度に気を付けなければいけませんし、水道水に含まれているミネラル成分によっても魚はダメージを受けてしまいます。水質をチェックするためのツールなどはアクアショップで販売されているものの、水素濃度を計測できるツールは残念ながらありません。そのため、水素の濃度や扱いに慣れていない人は、挑戦しないほうが良いでしょう。
しかし、水素が持つ除菌作用を水槽の管理やメンテナンスに活かすことは十分に可能です。例えば、水槽内に設置しているポンプなどを洗浄する際に、付着したコケを洗い落とす作業は意外と面倒なものです。そうしたクリーニングの作業に水素を使うと、細かい部分まで水素が入り込んで、汚れをスッキリと分解してくれるでしょう。
水槽のクリーニングに水素水を使う方法は、とても簡単です。バケツの中に水素水を作り、水槽から取り出したアイテムをバケツの中につけておくだけです。専用の洗剤を使ったりゴシゴシこすったりしなくても、水素の力である程度の汚れは落ちてくれます。もしも水素水だけでは十分に落ちない汚れでも、汚れが落ちやすい状態になっているため、その後で中性洗剤で洗うと簡単にクリーニングができます。
